ドバイの不動産市場の中でも、近年特に存在感を増しているのが「短期賃貸(ホリデーホーム・短期滞在型物件)」です。観光都市としての成長だけでなく、リモートワークの普及、長期ビザ制度の拡充、富裕層・起業家の流入といった複数の要因が重なり、短期滞在ニーズは一時的なブームではなく、構造的な需要へと変化しつつあります。
2026年に向けて、ドバイの短期賃貸市場はさらに拡大すると見られていますが、その一方で「どの物件でも稼げる時代」は終わりつつあります。立地・管理・法規制への理解が不十分なまま参入すると、想定していた収益を下回るケースも増えてきました。
この記事では、ドバイ短期賃貸市場がなぜ成長を続けているのか、2026年に向けて何が変わるのか、そして居住・投資の視点でどんな点を押さえるべきかを、実務目線で整理していきます。
目次
なぜドバイの短期賃貸需要は拡大し続けているのか
ドバイの短期賃貸市場が成長している理由は、単なる観光客の増加だけではありません。複数の構造的な要因が重なり、安定した需要を生み出しています。
観光都市としての成熟と「滞在の多様化」
ドバイは世界有数の観光都市として知られていますが、近年は「数日泊まる観光客」だけでなく、「数週間〜数か月滞在する層」が明確に増えています。展示会、国際会議、ビジネスイベント、スポーツ大会などが年間を通じて開催されることで、ホテルよりも柔軟に使える短期賃貸が選ばれやすくなっています。
特にファミリー層やグループ滞在では、キッチン付き・広さのある物件へのニーズが高く、これは短期賃貸ならではの強みです。
リモートワーク・長期滞在ビザとの相性
バーチャルワーキングビザやゴールデンビザの普及により、「ドバイを拠点にしながら、仕事は海外」という層が増えました。この層は、最初から長期賃貸を契約するのではなく、短期賃貸でエリアや住環境を試す傾向があります。
その結果、1〜3か月単位での短期滞在需要が安定的に発生し、ホテルとも長期賃貸とも異なるポジションを確立しています。
ホテル価格の上昇が追い風に
観光需要の回復とイベント増加により、ドバイのホテル宿泊費は高水準が続いています。繁忙期には、ミドルクラスのホテルでも1泊あたりの価格が大きく跳ね上がるため、コストパフォーマンスを重視する層が短期賃貸へ流れています。
結果として、立地と設備が整った短期賃貸物件は、ホテルと競合しながらも選ばれやすい状況が続いています。
2026年に向けて短期賃貸市場はどう変わるのか
需要が拡大する一方で、2026年に向けて市場の「質」は確実に変化していきます。
参入物件の増加と競争の激化
短期賃貸の収益性に注目した投資家の参入が続き、供給物件は確実に増えています。そのため、単に「短期で貸す」というだけでは差別化が難しくなっています。
今後は、立地・内装・管理品質・レビュー評価など、複数の要素で選ばれる物件だけが安定した稼働率を維持できる市場になります。
規制・登録制度の重要性が高まる
ドバイでは短期賃貸を行う際、自治体への登録や許可取得が義務付けられています。今後はこの運用がより厳格になり、「無登録運営」「ルール違反物件」はリスクが高まると考えられます。
合法的に運営され、管理会社がしっかり入っている物件ほど、長期的な安心感が高くなります。
「稼働率」より「質の高い稼働」へ
以前は高稼働率を目指す運用が主流でしたが、今後は「単価×安定性」がより重視されます。短期的な値下げで埋める運用は、レビュー低下や物件劣化につながりやすく、結果的に収益を圧迫します。
2026年に向けては、適正価格で安定稼働する運営モデルが評価される傾向が強まります。
短期賃貸に向いているエリアと物件の特徴
すべてのエリア・物件が短期賃貸に向いているわけではありません。
立地が収益を大きく左右する
観光・ビジネス・生活利便性のバランスが取れたエリアは、短期賃貸との相性が良好です。交通アクセス、周辺施設、治安、景観などが評価に直結します。
管理体制と共用設備の質
短期滞在者は「管理の質」に敏感です。チェックイン対応、清掃品質、トラブル対応の速さなどが、レビューとリピート率に影響します。
共用プール、ジム、セキュリティなどの設備が整っている物件ほど、単価を維持しやすい傾向があります。
間取りと内装の実用性
見た目の豪華さだけでなく、収納、動線、家具配置など「使いやすさ」が重視されます。特に1ベッド・2ベッドは需要が安定しており、過度に尖った間取りは敬遠されがちです。
居住・移住者にとっての短期賃貸の現実的な使い方
短期賃貸は投資だけでなく、移住の入り口としても活用されています。
エリア選定の「試住」として活用
いきなり長期賃貸や購入を決めるのではなく、短期賃貸で複数エリアを試すことで、生活動線や相性を確認できます。
家族帯同・教育準備期間として
学校選びやビザ手続きが完了するまでの仮住まいとしても、短期賃貸は柔軟に使えます。家具付きで生活を始められる点は大きなメリットです。
投資視点で見た短期賃貸の注意点
収益性が高い一方で、注意点も明確に存在します。
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 管理コスト | 清掃・運営費が長期賃貸より高くなりやすい |
| 規制対応 | 登録・許可・更新を怠ると運営リスクが高まる |
| 稼働変動 | 繁忙期と閑散期の差を見込んだ資金計画が必要 |
| 物件選定 | 短期向きでない物件は利回りが伸びない |
「短期=高利回り」と単純に考えるのではなく、運営体制込みで判断することが重要です。
まとめ
ドバイの短期賃貸市場は、2026年に向けて引き続き成長が見込まれていますが、その中身は確実に成熟フェーズへと移行しています。誰でも簡単に稼げる市場ではなくなり、「選ばれる物件」「正しく運営される物件」が評価される時代です。
居住・移住の視点では、短期賃貸は柔軟な住まい方を可能にし、投資の視点では、管理・立地・規制理解が成否を分けます。短期賃貸を検討する際は、収益性だけでなく、長期的な市場の変化を踏まえた判断が欠かせません。
ドバイでの住まい選びや不動産活用を検討している方は、短期・長期の両面から全体像を把握した上で、無理のない戦略を立てることが、結果的に後悔しない選択につながります。



