ドバイのフリーゾーン法人といえば、「法人税0%」「税務がシンプル」というイメージを持っている方が今も非常に多いと思います。実際、これまでUAEは世界的に見ても極めて有利な税制環境を維持してきました。
しかし2023年の法人税導入以降、2024年〜2025年にかけて制度は明確に「次のフェーズ」へと移行しています。現在のフリーゾーン法人税制は、単に会社を設立すれば0%になる仕組みではありません。
この記事では、2025年以降のフリーゾーン法人税の考え方を整理しながら、「なぜ0%神話が通用しなくなったのか」「それでもドバイが有利と言える理由」「企業・移住者が今取るべき具体的な対応」を、保存版として詳しく解説します。
目次
そもそも「フリーゾーン0%」は何が変わったのか
まず理解しておきたいのは、「フリーゾーン法人税0%が廃止されたわけではない」という点です。多くの誤解がここから生まれています。
0%は残るが“条件付き”になった
現在も、フリーゾーン法人は一定条件を満たせば法人税0%が適用されます。ただし、その条件は以前よりもはるかに明確かつ厳格になりました。
最大のポイントは、「適格所得(Qualifying Income)」のみが0%の対象になるという点です。条件を満たさない所得については、フリーゾーン法人であっても9%の法人税が課されます。
「フリーゾーンにある」だけでは不十分
かつては、「フリーゾーンに会社がある」という形式面が重視されがちでした。しかし現在は、実体・取引内容・意思決定プロセスまで含めて判断されます。
つまり、実態のない法人や、名義だけのフリーゾーン法人は通用しなくなったということです。
適格所得(Qualifying Income)とは何か
フリーゾーン法人税を理解する上で、最も重要なキーワードが「適格所得」です。
適格所得に該当する主なケース
一般的に、以下のような所得は適格所得と認められる可能性があります。
- フリーゾーン内企業との取引による所得
- 国外(UAE国外)との取引による所得
- 一定条件を満たす持株会社・投資関連所得
一方で、UAE本土(メインランド)向けの取引や、特定のサービス提供は、適格所得から除外される可能性があります。
同じ会社でも「0%部分」と「9%部分」が分かれる
重要なのは、1社の中で所得が分離されるという点です。
例えば、海外向けコンサルティング業務は0%対象でも、UAE本土企業へのサービス提供は9%課税対象になる、といったケースが普通に起こり得ます。
このため、会計・契約・請求の設計が非常に重要になります。
フリーゾーン法人に求められる「実体要件」
0%適用を受けるためには、単なる登記ではなく、実体要件(Substance Requirements)を満たす必要があります。
実体要件とは何を指すのか
実体要件とは、簡単に言えば「その会社が本当にUAEで事業をしているかどうか」です。
具体的には以下のような要素が見られます。
- 実際のオフィスの有無
- 従業員や役員の配置
- 意思決定が行われている場所
- 事業活動と収益の整合性
特に、オーナーがどこに居住し、どこで意思決定しているかは重要な判断材料になります。
メインランド取引が与える影響
「少しだけ本土取引」は危険
フリーゾーン法人が最も注意すべきなのが、UAE本土企業との取引です。
「売上の一部だけだから大丈夫」「紹介程度だから問題ない」と考えてしまうと、思わぬ課税リスクにつながることがあります。
取引構造の見直しが必須
本土取引が避けられない場合、メインランド法人を別途設立する、代理店契約を活用するなど、構造的な整理が必要になります。
税率の問題ではなく、「どこで・誰と・どんな取引をしているか」を明確に説明できる体制が重要です。
中小企業・スタートアップへの救済措置
UAE政府は、中小企業に過度な負担がかからないよう、救済措置も用意しています。
スモールビジネスリリーフの活用
一定の収益規模以下の企業については、法人税負担を実質的に軽減する制度があります。これにより、事業初期段階での税負担を抑えることが可能です。
ただし、これも自動適用ではなく、申告・管理が前提となります。
移住者・個人オーナーが特に注意すべき点
フリーゾーン法人税の話は、法人だけで完結しません。オーナー自身の居住地・ビザ・税務も密接に関係します。
実質管理地と個人課税リスク
会社の意思決定が日本で行われている場合、日本側で課税対象とされる可能性も否定できません。
そのため、法人設立と個人移住はセットで設計すべきです。
2025年以降に企業が取るべき対応まとめ
| 項目 | 対応の方向性 |
|---|---|
| 法人設立場所 | フリーゾーン/本土の役割分担を明確化 |
| 取引整理 | 適格所得・非適格所得の切り分け |
| 会計体制 | 帳簿・契約・請求の整合性確保 |
| 実体構築 | オフィス・人員・意思決定の明確化 |
| 個人設計 | 居住・ビザ・税務の一体設計 |
まとめ
ドバイのフリーゾーン法人税は、「0%がなくなった」のではなく、「正しく使う人だけが0%を維持できる制度」に進化しました。
形式だけの法人設立や、過去の情報に基づいた運用では、むしろリスクが高まる時代です。一方で、制度を正しく理解し、事業・移住・税務を一体で設計できれば、UAEは今なお世界トップクラスに有利な拠点であることに変わりはありません。
短期的な税率だけでなく、5年・10年先を見据えた構造設計が、これからのドバイ活用では何より重要になります。
ドバイでの不動産購入、投資と居住を組み合わせた戦略、移住まで含めて検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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