ドバイの賃貸市場が上昇局面に入って以降、「このまま借り続けるべきか」「いっそ買った方がいいのか」という相談が急増しています。特に更新時に家賃の引き上げを提示されたタイミングで、この問いに直面する人は少なくありません。
ただし、この判断は家賃が高いか安いかだけで決めるものではありません。 買う・借りるの正解は人によって異なり、間違った軸で判断すると、どちらを選んでも後悔につながります。
この記事では、ドバイ特有の住宅市場・ビザ制度・資金構造を踏まえながら、「買うべき人」「借りるべき人」がどこで分かれるのかを、感覚論ではなく構造で整理します。
目次
なぜ今「買うか・借りるか」がこれほど重要なのか
ドバイでは、家賃上昇=即「購入が有利」とは限りません。 なぜなら、日本や他国とは前提条件が大きく違うからです。
家賃上昇が“局地的”に起きている
ドバイの家賃上昇は全域一律ではなく、エリア・物件タイプ・入居者層によって濃淡があります。 つまり、上がっている場所で借りている人ほど「損している気分」になりやすい構造です。
この心理的圧迫が、「もう買った方がいいのでは?」という判断を早めがちになります。
購入=永住ではない都市構造
ドバイでは、不動産購入=一生住む、という前提がありません。 居住・賃貸・売却を組み合わせる前提で市場が設計されています。
そのため、「買う=固定される」という感覚のまま判断すると、ズレが生じます。
まず整理すべき3つの前提条件
買うか借りるかを考える前に、以下3つを明確にしないと、判断は必ずブレます。
① 滞在期間の現実的な想定
「最低でも何年ドバイにいる可能性が高いか」。 この問いに対して、3年未満と答える人と、5年以上と答える人では、選択肢が根本的に異なります。
特にビザの種類(就労・ゴールデン・投資)によって、滞在の安定度は大きく変わります。
② 住まいに求める柔軟性
エリア変更・広さ変更・家族構成の変化にどれくらい対応したいか。 この柔軟性を重視する人ほど、購入は慎重になるべきです。
③ キャッシュフロー耐性
頭金・諸費用・維持費を含めた資金余力があるか。 購入は「得か損か」ではなく、資金拘束に耐えられるかが重要です。
借り続けるべき人の特徴
まずは、家賃が上がっていても「借りる方が合理的」な人の特徴から整理します。
滞在期間がまだ流動的な人
転職・起業・ビザ変更の可能性がある段階では、購入はリスクになります。 売却前提の購入は、想定より時間とコストがかかることもあります。
エリア選定が固まっていない人
ドバイはエリアごとの生活感が大きく異なります。 「まだしっくりくる場所が見つかっていない」場合は、借りる方が合理的です。
資産を流動的に保ちたい人
事業投資・他国分散・キャッシュ確保を優先したい人にとって、不動産購入は柔軟性を下げます。
買うことを検討すべき人の特徴
一方で、家賃上昇をきっかけに「買う側」に回ることで合理性が出る人も確実に存在します。
5年以上の滞在がほぼ確実な人
長期滞在が前提なら、家賃支払いを資産化する選択肢が現実的になります。 特にゴールデンビザや安定した就労ビザを持つ人は、この条件を満たしやすいです。
同じエリア・同じ広さに住み続けたい人
住み替え欲求が少なく、生活スタイルが固まっている人ほど、購入のメリットが出ます。
インフレ・家賃上昇リスクを固定化したい人
購入することで、将来の家賃上昇リスクを遮断できます。 これは心理的な安定にもつながります。
「家賃 vs 購入」の単純比較が危険な理由
| 視点 | 借りる | 買う |
|---|---|---|
| 柔軟性 | 高い | 低い |
| 初期負担 | 小さい | 大きい |
| 将来コスト | 上昇リスクあり | 固定化しやすい |
| 資産性 | なし | あり |
| 心理的安定 | 低め | 高め |
よくある失敗は、「今払っている家賃 × 年数」と「購入価格」を単純比較してしまうことです。 この比較は、柔軟性・流動性・機会損失を無視しています。
実務的に考える“分岐ライン”の目安
相談ベースで見えてくる、ひとつの現実的な分岐ラインがあります。
目安①:滞在5年 × 同一物件想定
5年以上、同じエリア・同等物件に住む前提があるなら、購入を検討する価値が出てきます。
目安②:年間家賃が購入価格の6〜8%
この水準を超えると、「支払いが資産に変わる」意味合いが強くなります。
目安③:頭金+諸費用を出しても生活に余力がある
無理な購入は、結果的に選択肢を狭めます。 余力があることが前提条件です。
ドバイという都市が示す本質的な答え
ドバイは「借り続けること」も「買うこと」も、どちらも否定しない都市です。 重要なのは、自分のフェーズに合った選択をすること。
家賃上昇はプレッシャーになりますが、それは「決断を迫るシグナル」でもあります。 感情ではなく、構造で判断すれば、どちらを選んでも後悔は減らせます。
まとめ
家賃が上がったから買う、という判断は危険です。 一方で、買える状況なのに借り続けることで、機会を逃している人もいます。
分岐点は、「価格」ではなく、滞在期間・柔軟性・資金耐性。 この3つを冷静に整理できたとき、答えは自然と見えてきます。
ドバイでは、住まいは“ゴール”ではなく“戦略”です。 だからこそ、今の自分に合った立ち位置を選ぶことが、最も合理的な選択になります。
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