ドバイで法人設立や事業展開を検討している人にとって、「フリーゾーンか、メインランドか」という選択は、これまで非常に重要な分岐点でした。フリーゾーンは税制・外資規制の面で魅力がある一方、UAE本土での直接営業には制限があり、メインランドは自由度が高い代わりに設立・運営のハードルがある、という住み分けが長年続いてきました。
しかし近年、その境界線が大きく変わり始めています。今回ドバイで導入された「フリーゾーン企業がメインランドでも活動できる新オペレーティングパーミット」は、この構造を実務レベルで再定義する制度です。
この記事では、この新制度の仕組み、背景、実務上のメリット・注意点、そして移住・起業・不動産戦略まで含めた影響を、保存版として詳しく解説します。
目次
なぜ今「フリーゾーン×メインランド兼業」が解禁されたのか
この制度は、単なる規制緩和ではありません。ドバイが目指しているのは、「企業にとって最も合理的で柔軟なビジネス環境」を整えることです。
フリーゾーン制度の限界が見えてきた
フリーゾーンは、外資100%所有、税制優遇、手続きの簡便さといった点で、これまで多くの外国企業を引きつけてきました。しかし一方で、以下のような課題もありました。
- UAE本土企業との直接取引が制限される
- 国内向けビジネスには代理店や支店が必要
- 事業が拡大すると構造が複雑化しやすい
成長企業ほど「フリーゾーンにいること自体が制約になる」という状況が生まれていたのです。
ドバイ経済の成熟フェーズへの移行
ドバイはすでに「誘致フェーズ」から「定着・拡大フェーズ」に入っています。短期的な法人設立数ではなく、長期的に根付く企業・雇用・投資を重視する段階に来ています。
そのため、企業が段階的に成長できる制度設計が求められていました。
新オペレーティングパーミットの仕組みとは
今回導入された制度の核心は、「フリーゾーン法人のまま、一定条件下でメインランド活動を可能にする」点にあります。
法人形態はフリーゾーンのまま
重要なのは、メインランド法人を新設する必要がないという点です。あくまで、フリーゾーン法人が追加で「活動許可」を取得する仕組みです。
これにより、法人構造を二重に持つ必要がなくなり、管理コストや手続き負担が大幅に軽減されます。
対象となる活動範囲
すべての業種・活動が無制限に認められるわけではありません。許可対象となる活動は、業種ごとに整理され、ライセンス内容と実態の一致が求められます。
つまり、「名目上フリーゾーン、実態は完全に本土営業」という形は認められません。
企業側にとっての実務メリット
事業拡大の柔軟性が大きく向上
これまで、フリーゾーン企業がUAE国内市場に本格参入するには、メインランド法人設立という“重い決断”が必要でした。
新制度では、まずは小規模に本土活動を試し、市場反応を見ながら段階的に拡大する、という戦略が可能になります。
コストと管理負担の削減
法人を二重に持たないことで、以下の負担が軽減されます。
- 会計・税務管理の簡素化
- ライセンス更新コストの削減
- 意思決定・統治構造の一本化
「成長途中の企業にとって現実的な選択肢」が増えたと言えます。
税務・法人税の観点での注意点
この制度を考える上で、法人税との関係は避けて通れません。
フリーゾーン優遇は自動ではない
フリーゾーン法人であっても、メインランド活動から生じた所得は、適格所得として認められない可能性があります。
その場合、該当部分には9%の法人税が課税されます。
所得区分と管理が極めて重要
今後は、以下の管理が不可欠になります。
- フリーゾーン内取引と本土取引の明確な区分
- 契約・請求・会計処理の一貫性
- 実体とライセンス内容の一致
制度が柔軟になる分、管理の精度が求められる時代に入ったと言えます。
移住・ビザ・不動産戦略への影響
起業家ビザ・ゴールデンビザとの相性
事業の実態が広がることで、起業家ビザやゴールデンビザの審査においても、「実体のある活動」として評価されやすくなります。
これは、短期滞在ではなく、長期居住を前提とした移住設計にプラスに働きます。
オフィス・住居選びの自由度が上がる
これまで「フリーゾーン内に拠点を置く必要がある」ケースでは、オフィス・住居エリアが限定されがちでした。
新制度により、事業と生活の動線をより合理的に設計できるようになります。
新制度を活用する際のチェックポイント
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 業種 | 許可対象業種かどうか |
| 所得区分 | 適格所得/非適格所得の切り分け |
| 契約構造 | 本土取引の契約主体が明確か |
| 会計管理 | 収益・コストの分離管理 |
| 移住設計 | 法人と個人の整合性 |
まとめ
今回の新オペレーティングパーミットは、「フリーゾーンか、メインランドか」という二択の時代を終わらせる制度です。
ただし、自由度が増した分、設計を誤ると税務・法務リスクも増します。重要なのは、制度を“使うこと”ではなく、“正しく使うこと”です。
フリーゾーンの強みを活かしつつ、段階的にUAE市場へ展開したい企業・起業家にとって、この制度は非常に大きな武器になります。
ドバイでの不動産購入、投資と居住を組み合わせた戦略、移住まで含めて検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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