UAEでは、これまで「税制が非常にシンプル」「法人税がない国」というイメージが強くありました。しかし、近年は国際的な税務ルールとの整合性を取るため、法人税制度の導入とともに、関連する事業税法の見直し・改正が段階的に進められています。
特に2024年以降に行われている一連の改正は、「単なる税率の話」ではなく、どの企業が、どの所得について、どのように課税対象になるのかという実務面を大きく左右する内容になっています。
この記事では、UAE法人税・事業税法の改正内容を整理しつつ、フリーゾーン法人、メインランド法人、個人オーナー、移住者それぞれにどんな影響があるのかを、保存版として詳しく解説します。
目次
なぜUAEは法人税・事業税法を改正しているのか
今回の一連の改正の背景には、「増税したいから」という単純な理由はありません。UAEは今もなお、国際的に見れば非常に競争力の高い税制を維持しています。
国際基準との整合性が最大の理由
世界的に、BEPS(税源浸食と利益移転)対策や、企業の透明性を高める動きが強まっています。UAEも国際金融・ビジネスハブとしての立場上、これらの基準に対応する必要がありました。
その結果として、「税率は低いが、ルールは明確で厳格」という方向へシフトしています。
「抜け道」を塞ぎ、「正しく使う人」を守る構造へ
これまでのUAEでは、実体のない法人や名義だけの会社が利用されるケースもありました。今回の改正は、そうしたグレーゾーンを減らし、実際に事業を行う企業が安心して活動できる環境を整える目的もあります。
今回の法人税・事業税法改正のポイント
課税対象所得の定義がより明確に
これまで曖昧だった「どの所得が課税対象になるのか」という点が、より具体的に整理されています。特に、関連会社取引やクロスボーダー取引については、実態に基づく判断が強く求められます。
形式上はフリーゾーン法人でも、実質的に本土向けビジネスを行っている場合や、管理・意思決定が国外で行われている場合は、課税対象となるリスクが高まります。
免税・優遇措置の適用条件が厳格化
法人税0%や各種優遇措置は、今後も維持されますが、「自動適用」ではなく「条件を満たした場合のみ適用」という考え方が徹底されます。
申告義務、帳簿管理、監査要件を満たしていない場合、優遇が受けられなくなる可能性があります。
フリーゾーン法人への影響はどう変わるのか
フリーゾーン法人にとって、今回の改正は「不利になる」というよりも、「設計を誤ると不利になる」という性質のものです。
0%税率は維持されるが前提が変わる
フリーゾーン法人が0%税率を適用するためには、適格所得のみを得ていること、実体要件を満たしていること、適切な申告を行っていることが前提になります。
「フリーゾーン=何をしても0%」という時代は、完全に終わったと考えるべきです。
本土取引・関連会社取引への注意
メインランド企業との取引、グループ会社間取引については、価格設定や契約内容がより厳しく見られるようになります。移転価格や実質的な業務内容の整理が不可欠です。
メインランド法人・中小企業への影響
9%法人税でも「重い」とは限らない
UAEの法人税率9%は、国際的に見ても非常に低水準です。さらに、一定の条件を満たす中小企業には、軽減措置や救済措置が用意されています。
利益が一定水準以下の場合、実質的な税負担が極めて小さくなるケースもあります。
記帳・管理体制の重要性が増す
税率よりも重要なのは、「適切な記帳と説明ができるかどうか」です。帳簿が整っていないことで、不要な指摘や調査につながるリスクがあります。
個人オーナー・移住者への影響
法人税の話は、法人だけの問題ではありません。特に、オーナー自身がUAEに居住する場合、個人の居住者判定や所得の扱いにも影響します。
実質管理地と居住者判定
会社の意思決定を誰がどこで行っているかは、法人税・個人課税の両方に影響します。日本に居住しながらUAE法人を運営している場合、日本側で課税対象とされる可能性もあります。
法人設立と同時に、個人の移住設計まで含めて考えることが不可欠です。
改正後に求められる実務対応まとめ
| 項目 | 対応ポイント |
|---|---|
| 法人設計 | フリーゾーン/本土の使い分けを再確認 |
| 取引整理 | 本土・海外取引の切り分け |
| 実体要件 | オフィス・人員・管理体制の明確化 |
| 会計管理 | 帳簿・監査体制の整備 |
| 個人設計 | 居住者判定・ビザとの整合性 |
まとめ
UAEの法人税・事業税法改正は、「税率が上がる」「メリットがなくなる」という話ではありません。むしろ、正しく理解し、正しく設計した企業や移住者にとっては、依然として非常に有利な環境が維持されています。
重要なのは、「0%か9%か」ではなく、「その前提が成立しているか」です。法人・個人・移住・ビザを切り離さず、全体設計として考えることで、将来リスクを抑えながらUAEを拠点にした活動が可能になります。
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