ドバイ移住を検討する方が増える中、実際に移住するための具体的な条件について正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。ドバイには永住権制度がないため、長期滞在には必ずビザの取得が必要です。
本記事では、個人や家族でドバイ移住を実現するために必要な7つのビザの種類と取得条件、さらに移住成功のための実践的なステップを詳しく解説します。
目次
ドバイ移住の基本条件とビザ制度

ドバイに移住するためには、有効な居住ビザの取得が必要となります。UAE(アラブ首長国連邦)では永住権制度が存在しないため、すべての外国人はいずれかのビザカテゴリーに基づいて滞在する必要があります。
ビザ制度の構造
ドバイのビザ制度は、滞在目的と申請者の条件によって複数のカテゴリーに分かれています。各ビザには有効期間があり、期限前に更新手続きを行う必要があります。また、ビザの種類によって、就労の可否や家族帯同の条件、必要な投資額などが大きく異なるため、自分の状況に最適なビザを選択することが重要です
入国時の基本要件
すべてのビザ申請者は、入国時点でパスポートの残存有効期間が6ヶ月以上必要とされます。また、ドバイでは健康保険への加入が法律で義務付けられており、ビザ申請時に保険証明書の提出が求められます。
ドバイ移住に必要な7つのビザと取得条件

ドバイ移住で利用できるビザは7つの主要カテゴリーに分類されます。それぞれの特徴と具体的な取得条件を詳しく見ていきましょう。
不動産投資ビザ
不動産投資ビザは、ドバイの不動産を購入することで取得できる2年間有効のビザです。最低投資額は75万AED(約3,225万円)となっており、個人投資家にとって比較的アクセスしやすいビザとなっています。
さらに、このビザの大きなメリットは配偶者や18歳未満の子どもを帯同できることです。ただし、就労や法人設立は認められていないため、他の収入源を確保する必要があることには注意が必要です。不動産購入については原則として全額自己資金で行う必要があり、ローンの利用は制限されています。
ゴールデンビザ
ゴールデンビザは10年間有効の長期滞在向けの最も安定したビザです。不動産投資による取得の場合、最低200万AED(約8,600万円)以上の投資が必要となります。
起業家や投資家の場合は5年間のゴールデンビザが発行され、技術者や医師などの専門職、優秀な学生も対象となる場合があります。家族全員にビザが発行され、就労も可能なため、本格的な移住を考える方には理想的な選択肢です。
投資家ビザ
投資家ビザは、ドバイでの法人設立や既存企業への投資を通じて取得する3年間有効のビザです。フリーゾーン法人設立の場合、比較的少額の投資で取得可能ですが、事業の実態が求められます。
フリーゾーン外での法人設立の場合、業種によってはUAE国民の資本参加が必要になるケースがあります。事業計画の実現可能性と継続性が審査のポイントとなります。
就労ビザ
就労ビザは、UAE企業からの雇用オファーに基づいて取得する2〜3年間有効のビザです。申請費用は雇用企業が負担するため、個人の初期費用を抑えることができます。
ただし、雇用契約が終了するとビザも停止されるため、転職時には新たなスポンサー企業を見つける必要があります。専門的なスキルや経験を持つ方に適したビザといえるでしょう。
バーチャルワーキングビザ
バーチャルワーキングプログラム(リモートワークビザ)は、海外企業に雇用されながらドバイで働くことを可能にする1年間有効のビザです。コロナ禍以降に導入された比較的新しい制度です。
申請には最低月収5,000ドル(約75万円)の証明や海外企業からの雇用証明書が必要です。日本企業に勤務しながらドバイ生活を体験したい方に適していますが、1年という短期間のため更新手続きが頻繁に必要となります。
退職ビザ
退職ビザは55歳以上を対象とした5年間有効のビザで、セカンドライフをドバイで過ごしたい方向けの制度です。取得には以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 100万AED以上の不動産所有
- 100万AED以上の銀行預金
- 月額2万AED以上の継続的収入証明
年金受給者や資産を持つシニア層に適した制度といえますが、比較的高額な資産要件が設定されています。
家族帯同条件
家族ビザは、上記のいずれかのビザを持つ家族が取得できるビザです。配偶者や18歳未満(フルタイム学生の場合は25歳まで)の子どもが対象となります。
ドバイ移住の手続きの流れと必要書類

ビザ取得から実際の移住まで、段階的な準備と手続きが必要です。スムーズな移住を実現するための具体的なステップを解説します。
事前準備と情報収集
移住準備の第一歩は、自分や家族の状況に最適なビザの選択です。年齢、資産状況、職業、家族構成などを総合的に考慮し、長期的な視点で最適なビザを選ぶ必要があります。
また、ドバイの法制度は頻繁に改正されるため、最新の条件や手続きについて現地の専門家や政府機関から情報を取得することが重要です。信頼できる現地エージェントとの関係構築は、成功する移住の重要な要素となります。
必要書類の準備
ビザ申請には多数の書類が必要で、すべて英語翻訳と外務省の認可が求められます。基本的な必要書類には以下が含まれます。
- パスポート(残存期間6ヶ月以上)
- 写真(規定サイズ)
- 学歴証明書
- 職歴証明書
- 健康診断書
- 無犯罪証明書
- 資産証明書(銀行残高証明など)
- 家族関係証明書(戸籍謄本など)
書類の準備には数ヶ月を要する場合があるため、早めの準備開始が推奨されます。
適切な住居の選択
ビザ申請と並行して、現地での住居確保も重要な準備項目です。ドバイの不動産市場は活発で、賃貸・購入ともに多様な選択肢があります。
エリアによって生活費や教育環境が大きく異なるため、家族の年齢や職業、予算に応じた適切なエリア選択が重要です。また、健康保険への加入手続きや銀行口座開設の準備も同時に進める必要があります。
ドバイ移住費用と生活コスト

ドバイ移住には初期費用と継続的な生活費の両方を考慮した資金計画が必要です。具体的な費用構造と生活コストを詳しく解説します。
初期費用の内訳
ドバイ移住の初期費用は選択するビザによって大きく異なります。最も費用がかかるのは不動産投資やゴールデンビザで、数千万円規模の投資が必要です。
その他の初期費用として、ビザ申請費用、健康診断費用、書類作成・翻訳費用、航空券代、住居の敷金・礼金、家具・家電購入費などがあります。総合的な初期費用として500万円〜1,000万円程度を見込んでおくと安心です。
月々のドバイ生活費
ドバイの生活費は居住エリアやライフスタイルによって大きく変わります。家族4人での一般的な月間生活費は以下のような構成になります。
- 住居費:150,000円〜500,000円
- 食費:80,000円〜150,000円
- 教育費:100,000円〜300,000円(私立校の場合)
- 交通費:30,000円〜80,000円
- 光熱費:20,000円〜50,000円
- その他(娯楽、雑費):50,000円〜100,000円
合計で月額43万円〜118万円程度となり、東京の生活費と比較しても決して安くありません。
教育費と医療費
子どもの教育費は移住者にとって大きな負担となります。日本人学校や国際校の年間学費は150万円〜500万円と幅広く、複数の子どもがいる場合は相当な費用となります。
医療費については健康保険への加入が義務付けられているため、基本的な医療は保険でカバーされます。ただし、保険の種類や医療機関によって自己負担額が変わるため、適切な保険選択が重要です。
まとめ
本記事では、ドバイ移住に必要な7つのビザ種類とその取得条件、移住手続きの流れ、生活費や注意点について詳しく解説してきました。
- ドバイ移住には有効な居住ビザの取得が必須で、7つの主要なオプションがある
- 不動産投資ビザは75万AED以上の投資で2年間有効
- ゴールデンビザは200万AED以上の投資で10年間有効の最も安定したオプション
- 初期費用として500万円〜1,000万円程度、月間生活費は43万円〜118万円程度を想定
ドバイ移住を検討されている方は、まず自分の状況に最適なビザを選択し、信頼できる現地専門家との相談から始めることをお勧めします。十分な準備期間を確保し、段階的に移住計画を進めていきましょう。


